リーダー初心者のためのマーケティング戦略入門(第4回) 〜チーム全体でマーケティングを活かすには?~

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リーダー初心者のためのマーケティング戦略入門(第4回)
〜チーム全体でマーケティングを活かすには?~

 

こんにちは。戦略マスター頼朝と申します。

「誰もが優れたリーダーになれる!」を信念に、
リーダーシップ論及びブランディング戦略の研究と、
コーチング・メソッドによるリーダーシップ指導をしております。

このブログでは、リーダー初心者の方のためのお役立ち知識を解説して参ります。

さて、今回のテーマは、
「リーダー初心者のためのマーケティング戦略入門(第4回)」として、
「チーム全体でマーケティングを活かすには?」です。

前回記事「なぜマーケティングを学ぶと良いのか?」では、リーダーがマーケティングを学ぶ必要性のお話をしました。↓

リーダー初心者のためのマーケティング入門(第3回) | 戦略マスター頼朝 リーダーのための勉強部屋 (sales-writing.com)

戦略的思考を身につけるためには、
日頃の購買生活からイメージしやすいマーケティングを学ぶのが有益だからでしたね。

今回の記事では、
リーダーだけでなくチーム全体でも、マーケティングを実践する必要性のお話をしていきます。

それでは行ってみましょう!

 

1.マーケティングをチームで活かしていくためには?

世の中の一部には、
優れたマーケティング部門を設置すれば結果が出るはずだという誤解があります。

これは、リーダー自身がマーケティングの重要性を深く理解していないために起こります。

チームにおけるマーケティングの理想型は、
チーム全体でマーケティングを理解し、統一した方針のもとに実践していくことです。
決して、リーダーや一部のマーケティング担当者だけがマーケティングを実践することではありません。

チーム全体がマーケティングを理解していなければ、
顧客からの継続的な支持は得られないからです。

つまり、たった1人のメンバーの信頼を失う言動によって、チームが築いてきたブランド・イメージや顧客満足が失われてしまうのです。

チームのマーケティング力とは、
リーダーや幹部メンバーの取り組み方だけで決まるのではありません。
直接顧客と接する可能性のある最前線のメンバーの取り組み方も含めた、チーム全体で決まります

 

具体的に見ていきましょう。

マーケティング部門がいかに優れていても、
リーダー自らがマーケティングの重要性を理解せず、行動が伴わなかったらどうでしょう?
リーダーがそんな風では、顧客からの信頼は皆無ですし、メンバーもついて行きようがありません。

営業マンや販売員が商品・サービスの説明をきちんとできなかったらどうでしょう?
また、顧客から会社の理念や商品・サービスに込められたメッセージを尋ねられた時に、満足に答えられなかったとしたら?

経理部門が契約内容とは違う請求書を顧客に送ってしまったらどうでしょうか?

コールセンターやお客様窓口の部門が、
電話対応で誤解を招く表現をしてしまったり、失礼な言い回しをしてしまったら?
顧客の信頼を失うどころか怒りを買ってしまうでしょう。

生産部門が、顧客ニーズに合致した製品ではなく、不良品を作ってしまったら?
出荷部門が納期に間に合わないような配送をしてしまったら?
これらもまた、顧客からの信頼を大きく失うでしょう。

非営利組織の大学においても、
すべての教職員が受験生や学生中心の発想を持たず、おざなりな対応をしていたら?
在学生や卒業生の満足度を高められず、人気がガタ落ちのため、多くの受験生を集めることはできないでしょう。

したがって、チーム全体でマーケティングを活かすには、メンバー全員でマーケティングの考え方を共有していくことが必要です。

ヒューレット・パッカードの創業者の1人、デビッド・パッカードは、
マーケティングはあまりにも重要なので、
マーケティング部門だけに任せておけない

と述べています。

これは、マーケティング部門だけに任せているのでは、
自己満足に終わり、顧客へ響かない活動になってしまうことを示唆しています。

すなわち、マーケティング活動が効果を上げるためには、チーム全体で取り組むべきことを言っているのです。

さらに、彼は、
真に優れたマーケティング組織では、
誰がマーケティング部門の人間なのか区別がつかない

とも述べています。

チームの各メンバーがマーケティングの重要性を理解し、実践していれば、それが自然と全チーム的な取り組みとなります
あえてマーケティング部門を特別に設ける必要はないのです。

そもそも、マーケティングとは、
顧客ニーズを中心に考え、顧客満足を重視することにより、支持され続ける仕組み作りです。

そのためには、チーム全員がマーケティングをよく理解し、実践する必要があるのです。

 

2.チーム内のマーケティング部門の発展段階とは ?

しかし、世の中を見てみますと、
全てのチームがマーケティングの重要性を認識し、実践できているわけではありません

むしろ、人事、財務、生産部門などの他の機能と比べて、マーケティングを軽視しているチームも見受けられます。

これは、そのチームが置かれている市場の競争環境によって、マーケティングの重要性が異なってくるからです。

それでは実際に、マーケティングはチーム内でどのような位置づけにあるのでしょうか?

チーム内でのマーケティングの位置づけは、その重要性に応じて以下の5段階に分類できます。

 

①マーケティングの重要性が低いままにとどまっている段階

単純な部品や原材料を安定的に供給している企業の多くは、生産や財務や人事に比べてマーケティングが重視されていない段階です。

これは、市場における競争がそれほど激しくない場合によく見られます。
マーケティングの必要性にそれほど迫られていないからです。

 

②マーケティングが他の機能と同列の段階

成熟市場でビジネスをしている我が国の多くの企業は、この段階に位置しています。

市場の中でいくらか競争があるため、確かにマーケティングは軽視できません。

もっとも、激しい競争とまでは言えない市場環境であるため、マーケティングを取り立てて重視する必要もない段階と言えます。

 

③マーケティングの重要性が高まり、他の機能よりも重要になっている段階

成熟市場がさらに進みますと、
類似品が溢れ、顧客のニーズも多様化します。
すると、市場の中で競争が激しくなり、顧客の要求水準も高まります。

そのため、マーケティングを軽視した経営はできなくなります。

そこで、競争が激しい成熟市場では、
マーケティングの重要性が高まり、他の機能よりも重要な存在になります

 

④チーム内でマーケティングが中心的な働きをする段階

成熟市場でより一層競争が激しくなってきますと、
マーケティングをチームの中核、いわば司令塔として位置付ける段階になります。

成熟市場でも特に厳しい競争の食品業界や日用雑貨業界などでは、チーム内でマーケティングが司令塔になっていることが多いです。

 

⑤部門の垣根を越えてチーム全体がマーケティングを共有している段階

マーケティングはあまりにも重要なので、
特定部門だけが担うものではなく、チーム全体の共通理念となっている段階です。

製造や財務などの各部門では、自らの役割を遂行するとともに、チーム全体としてマーケティングを支援するのだという考えが共有されています。

まさに、前述の
真に優れたマーケティング組織では、
誰がマーケティング部門の人間なのか区別がつかない

という段階です。

この段階にまで到達している企業は、
理想的なマーケティング・カンパニーと言えます。
代表的な例としては、
ネスレ、P&G、アップル、そして、ヒューレット・パッカードなどです。

 

3.マーケティングの考え方をチームのメンバーに浸透させるには?

以上のように、顧客から支持され続けるチームであるためには、チーム全体がマーケティングの重要性を理解し、実践する必要があります。

マーケティングの成否は、
チーム全体にその重要性が浸透するかどうかにかかっているからです。

そのためには、各メンバーにマーケティングの重要性を理解してもらわねばなりません

そこで、日々の指導や研修を通して、
マーケティングの重要性を浸透させていくことが有効です。

日々のミーティングや研修の場、あるいは、個別コーチングの場など、あらゆる機会をとらえてマーケティング教育をしていきましょう。

長引く低迷からUSJをV字回復させたマーケター・森岡毅氏も、その著書のタイトルで、
マーケティングとは「組織革命」である』(日経BP、2018年)
と述べています。

リーダーの方は、
まずはチームメンバーと共にマーケティングの重要性について話し合うところから始めてみてはいかがでしょうか。

 

以上、最後までお読み頂きまして誠にありがとうございました。

次回の記事では、
「リーダー初心者のためのマーケティング戦略入門(第5回)」をお届け致します。

リーダー初心者で日々のリーダーシップにお悩みの方は、ぜひ楽しみにしていて下さい。

 

 

<主な参考文献>

この「マーケティング戦略入門」講義ブログを書くにあたって、参考にさせて頂いたり、引用させて頂いた主な参考文献を以下の通りご紹介致します。

①から⑫へ進むほど、少しずつ説明のレベルや知識の網羅性が上がっていきます。

もっとも、①~⑧までは、どの書籍も入門レベルのものですので、あまりご心配には及びません。

実際に手に取ってみて、ご自身に合うものから読み進められると良いと思います。

ご興味をお持ちになられた方はぜひお近くの書店でお買い求めください。
(個人的にリアル書店の皆様を応援しております。)

 

①佐藤義典『新人OL、つぶれかけの会社をまかされる』(青春出版社、2010年)

②佐藤義典『新人OL、社長になって会社を立て直す』(青春出版社、2011年)

③中野明『14歳からのマーケティング』(SOGOHOREI、2017年)

④市川晃久『マーケティングで面白いほど売り上げが伸びる本』(あさ出版、2016年)

⑤青井倫一監修・グローバルタスクフォース㈱編著『新版 通勤大学MBA2 マーケティング』(SOGOHOREI、2013年)

⑥平野敦士カール監修『大学4年間のマーケティング見るだけノート』(宝島社、2018年)

⑦弘兼憲史・前田信弘『知識ゼロからのマーケティング入門』(幻冬舎、2009年)

⑧恩蔵直人『日経文庫 マーケティング<第2版>』(日経文庫、2019年)

⑨沼上幹『有斐閣アルマ わかりやすいマーケティング戦略〔新版〕』(有斐閣、2008年)

⑩和田充夫・恩蔵直人・三浦俊彦『有斐閣アルママーケティング戦略〔第5版〕』

(有斐閣、2016年)

⑪河野安彦『内閣府認定マーケティング検定2級試験公式問題集&解説 上巻2020年度版』(公益社団法人日本マーケティング協会、2020年)

⑫河野安彦『内閣府認定マーケティング検定2級試験公式問題集&解説 下巻2020年度版』(公益社団法人日本マーケティング協会、2020年)

 

 

マーケティングを全く学んだことがない方は、①・ ②と③から読み始めると良いと思います。

手っ取り早く学びたい方は、① ・②と⑥を読めばマーケティングの全体像をつかめます。

これからマーケティングを本格的に学んでいきたい方は、①・ ②と⑥を読んだ後、⑧と⑨を読んで基礎固めを行い、その後に⑩~⑫へと読み進んでいかれると良いでしょう。

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