リーダー初心者のためのマーケティング戦略入門(第17回)〜顧客育成とは?~

マーケティング

リーダー初心者のためのマーケティング戦略入門(第17回)
〜顧客育成とは?~

 

こんにちは。戦略マスター頼朝と申します。

誰もが優れたリーダーになれる!」を信念に、リーダーシップ論及びブランディング戦略の研究と、コーチング・メソッドによるリーダーシップ指導をしております。

このブログでは、リーダー初心者の方のためのお役立ち知識を解説して参ります。

前回の記事(第16回)では、顧客の離反率と離反防止策についてご説明しました。↓
リーダー初心者のためのマーケティング入門(第16回) | 戦略マスター頼朝 リーダーのための勉強部屋 (sales-writing.com)

広告などのプロモーション活動や、営業マンや販売員による営業活動をどれだけ頑張って新規顧客を獲得しても、既存顧客がどんどん離反していくのであれば本末転倒です。

とすれば、リーダーやマーケター(=マーケティング担当者) は、既存顧客を維持・確保するための仕組みを整備していくべきです。

したがって、顧客との長期的な信頼関係作りをするためにリーダーが持つべき視点として、新規顧客獲得ばかりに注意を奪われず、顧客の離反率を軽視しないことが大切だというお話でした。

さて、今回のテーマは「顧客育成とは?」です。

顧客育成とはそもそもどういう意味なのか?
なぜ顧客育成をする必要があるのか?
顧客育成においてリーダーが重視するべきポイントは何か?などなど、
リーダー初心者の方の中にはよく分からないと思う方もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、顧客育成について具体的にご説明して参ります。

それでは行ってみましょう!

 

1.顧客育成の必要性とは?

顧客と長期的な信頼関係を築くことができれば、継続的に売上げと利益を確保して社員を養うことができ、社会や国に貢献することができます。

逆に、信頼を得られなければ、顧客はどんどん離反していき、いくら新規顧客獲得を頑張っても穴の開いたバケツに水を汲む状態になってしまいます。

そのため、売り手は、潜在顧客に対してマーケティング・ミックス4Pを駆使して様々な働きかけをしていくことで、信頼関係を構築していく努力をするべきです

もっとも、人と人との関係全般がそうであるように、信頼関係というものはいきなりできるものではありません。

顧客との長期的な信頼関係構築のために様々な働きかけをするにしても、少しずつ段階を踏んでいく必要があります。

そこで、今日のマーケティングでは、「顧客育成」の視点を持ってマーケティング・ミックス4Pを展開することが重視されています

 

2.顧客育成のプロセスとは?

顧客育成」とは、売り手にとって優良顧客になってもらうために、マーケティング・ミックス4Pを駆使して信頼関係を構築しながら顧客を少しずつ育てていくことです。

顧客育成では、最初は赤の他人である「見込み客(潜在顧客)」の段階から、「初めての顧客」→「リピート客」→「クライアント」→「信奉者」へというように、顧客からの売り手への信頼感が徐々に増大していくことが理想です。

顧客育成とは、いわば顧客をファン化させていくための活動と言っても良いでしょう。

それでは、顧客育成のプロセスを具体的に見ていきましょう。

顧客育成のプロセスのスタート地点は「見込み客」の段階からです。

見込み客は自分のニーズを満たすための製品を探している人であり、売り手が提供している製品に対して潜在的な興味を持っています。

しかも、一定の購入能力も備えています。

そして、類似製品の中からどの製品を購入するかについて比較検討するため、情報収集活動をしています。

そのため、売り手としては、見込み客に自分の製品を認知し、理解してもらうため、広告や営業マン・販売員などによるプロモーション活動を駆使して働きかけます

次に、見込み客の一部の人たちから認知や理解を獲得できますと、実際に自分の製品を購入してもらうことができ、その購入者は「初めての顧客」になります。

以前の記事(第15回)でご紹介しましたように、顧客満足は<製品パフォーマンス(便益) −事前の期待 =顧客満足>という式で表されます。↓
リーダー初心者のためのマーケティング入門(第15回) | 戦略マスター頼朝 リーダーのための勉強部屋 (sales-writing.com)

つまり、顧客が事前に抱いていた期待よりも製品パフォーマンスが大きく上回れば、顧客満足度は大きくなります。

初めての顧客が売り手の製品に対して高い顧客満足度を感じた場合には、次の買い替え時にも同じ売り手の製品を継続的に購入する確率が高まります。

そして、初めての顧客が実際に再び同じ売り手の製品の購入を希望した場合には、「リピート客」へと進化します。

さらに、リピート客の中でも、ライバルの類似製品よりも自分の製品を強く支持し、応援してくれるようになった段階の顧客は、「クライアント」へと進化することになります。

クライアントとは、売り手側も買い手側もお互いに相手をよく理解している段階に進んだ顧客のことで、売り手側から特別扱いされる顧客という位置づけになります。

いわゆる「得意客」のポジションとして位置づけられる顧客のことです。

これは不平等ではないかという懸念もあるかもしれません。

しかし、クライアントの段階まで進んだ顧客は、今後も継続購入してくれる確率がかなり高いため、売り手側にとってありがたい存在になります。

したがって、売り手側に対する貢献度に応じての平等(=実質的な平等)という扱いになりますので、クライアントというポジションを認めることは妥当といえます。

顧客の進化形態の最終段階は、「信奉者」です。

クライアントの中でも、自分の製品に対して熱狂的なファンになってくれた顧客のことを「信奉者」と呼びます。

いわば、売り手側にとって「上得意客」と言える顧客です。

例えば、ハーレーダビッドソンやディズニーランドなどは、この信奉者と言える顧客を多数抱えています。

信奉者は、熱狂的とも言える支持者であるため、単に自分の製品を最優先で購入してくれるだけではなく、他の人々へその素晴らしさを口コミで伝え、強力に推奨してくれる存在です。

自分の製品の伝道師、外交官、メッセンジャーとしての働きを自発的にしてくれる顧客といえます。

そのため、売り手が顧客を信奉者の段階にまで育成できれば、多大な見返りを期待することができるようになります。

したがって、売り手側としては、信奉者を絶対に手放してはなりません

非常に高い貢献度に応じた実質的な平等の実現として、信奉者には特典などの特別な待遇を提供するべきです

 

3.顧客育成においてリーダーが重視するべきポイントとは?

以上見てきましたように、ビジネスの継続的な維持・発展のためには、何よりも顧客との長期的な信頼関係の構築が必要です。

したがって、リーダーやマーケターが顧客育成の点において重視するべきポイントとしては、顧客とのタッチポイント(=接点)全てにおいて顧客満足の最大化を実現できるような仕組みを構築し、しかも、その仕組みを継続していくことです

具体的には、顧客が継続的に自分の製品を購入すればするほど、ポイント還元率を高くして経済的な特典を提供したり、別室接客や特別販売会への限定招待などの特別待遇を用意したりします。

つまり、購入額や継続率に応じた段階的な特典制度の仕組みを作って、顧客のファン化を図ると良いでしょう。

冒頭にもお伝えしましたが、顧客との信頼関係は一朝一夕には築けません。

ローマは1日にしてならず」とも言います。

地中海世界で巨大帝国を築いたローマも、最初はイタリア半島の数ある都市国家の1つに過ぎませんでした。

繁栄・発展のための施策をコツコツと積み重ねることによって長期的な繁栄を築き、巨大帝国にまでなったのです。

リーダーやマーケターの方は、どうしたら目の前のお客様の顧客満足度を最大化できるか、どうしたら自分のファンになってくれるかを常に考えながら、適切な顧客育成の仕組みを作り上げ、それを継続していきましょう

 

最後までお読み頂きまして誠にありがとうございました。

次回の記事では、「リーダー初心者のためのマーケティング戦略入門(第18回)」をお届け致します。

リーダー初心者で日々のリーダーシップにお悩みの方は、ぜひ楽しみにしていて下さい。

 

<主な参考文献>

この「マーケティング戦略入門」講義ブログを書くにあたって、参考にさせて頂いたり、引用させて頂いた主な参考文献を以下の通りご紹介致します。

①から⑫へ進むほど、少しずつ説明のレベルや知識の網羅性が上がっていきます。

もっとも、①~⑧までは、どの書籍も入門レベルのものですので、あまりご心配には及びません。

実際に手に取ってみて、ご自身に合うものから読み進められると良いと思います。

ご興味をお持ちになられた方はぜひお近くの書店でお買い求めください。
(個人的にリアル書店の皆様を応援しております。)

 

①佐藤義典『新人OL、つぶれかけの会社をまかされる』(青春出版社、2010年)

②佐藤義典『新人OL、社長になって会社を立て直す』(青春出版社、2011年)

③中野明『14歳からのマーケティング』(SOGOHOREI、2017年)

④市川晃久『マーケティングで面白いほど売り上げが伸びる本』(あさ出版、2016年)

⑤青井倫一監修・グローバルタスクフォース㈱編著『新版 通勤大学MBA2 マーケティング』(SOGOHOREI、2013年)

⑥平野敦士カール監修『大学4年間のマーケティング見るだけノート』(宝島社、2018年)

⑦弘兼憲史・前田信弘『知識ゼロからのマーケティング入門』(幻冬舎、2009年)

⑧恩蔵直人『日経文庫 マーケティング<第2版>』(日経文庫、2019年)

⑨沼上幹『有斐閣アルマ わかりやすいマーケティング戦略〔新版〕』(有斐閣、2008年)

⑩和田充夫・恩蔵直人・三浦俊彦『有斐閣アルママーケティング戦略〔第5版〕』

(有斐閣、2016年)

⑪河野安彦『内閣府認定マーケティング検定2級試験公式問題集&解説 上巻2020年度版』(公益社団法人日本マーケティング協会、2020年)

⑫河野安彦『内閣府認定マーケティング検定2級試験公式問題集&解説 下巻2020年度版』(公益社団法人日本マーケティング協会、2020年)

 

マーケティングを全く学んだことがない方は、①・ ②と③から読み始めると良いと思います。

手っ取り早く学びたい方は、① ・②と⑥を読めばマーケティングの全体像をつかめます。

これからマーケティングを本格的に学んでいきたい方は、①・ ②と⑥を読んだ後、⑧と⑨を読んで基礎固めを行い、その後に⑩~⑫へと読み進んでいかれると良いでしょう。

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