リーダー初心者のためのマーケティング戦略入門(第16回)〜顧客の離反率と離反防止策とは?~

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リーダー初心者のためのマーケティング戦略入門(第16回)
〜顧客の離反率と離反防止策とは?~

 

こんにちは。戦略マスター頼朝と申します。

誰もが優れたリーダーになれる!」を信念に、リーダーシップ論及びブランディング戦略の研究と、コーチング・メソッドによるリーダーシップ指導をしております。

このブログでは、リーダー初心者の方のためのお役立ち知識を解説して参ります。

前回の記事(第15回)では、「顧客満足とは?」をテーマに、顧客満足の今日的な意味や顧客満足最大化を図る上での注意点などをご説明しました。↓
リーダー初心者のためのマーケティング入門(第15回) | 戦略マスター頼朝 リーダーのための勉強部屋 (sales-writing.com)

さて、今回のテーマは「顧客の離反率と離反防止策とは?」です。

せっかく広告等のプロモーション活動や、営業マンや販売員による営業活動を頑張って新規顧客を獲得できたとしても、リピーターになってもらえなければ売り手の長期的な発展はあり得ません

新規顧客獲得のためのマーケティング活動ももちろん大切ですが、長期的なビジネス継続のためには、既存顧客へのケアも大切になってきます。

そのために、リーダーやマーケター(=マーケティング担当者)が新規顧客獲得と合わせて常に注意を払わなければならないのは、顧客の離反率です

顧客離反率の引き下げをすることができれば、新規顧客獲得とともに顧客は次第に増えていくことになり、長期的な発展が見込めます。

そこで、今回は、顧客の離反率と離反防止策について具体的にご説明して参ります。

それでは行ってみましょう!

 

1.顧客の離反率とは?

顧客の離反」とは、自分の製品を購入してくれていた顧客が継続的な購入を止めてしまったり、ライバルの類似製品に乗り換えたりしてしまうことです。
売り手側から見れば、いわば顧客の喪失のことです。

そして、「顧客の離反率」とは、新規で獲得した顧客の数に対して離反してしまった顧客の数の割合のことをいいます。

例えば、1年間の新規顧客数が1000件であるときに、離反した顧客が36件であれば、顧客離反率は3.6%になります。
平均的な企業では毎年10%の顧客を失っていると言われています。

また、アメリカの通信事業者の中には、毎年25%の携帯電話加入者を失っている会社もあるようです。
金額ベースの損失で見ますと、20億ドルから40億ドルの巨額な損失になります(恩蔵、2019年)。

顧客離反率が高いままでは、いくらマーケティング活動を頑張って新規顧客を獲得しても、穴の開いたバケツに水を注ぎ続けるようなものですので、注意が必要です。

 

2.顧客が離反する原因とは?

顧客が離反してしまう原因の多くは、顧客満足度が低いことにあります。

<製品パフォーマンス−事前の期待=顧客満足>の式で表されるように、事前の期待に比べて製品パフォーマンスがそれほどでもなかった場合に顧客満足度は低くなってしまいます。

そのため、顧客の価値観やニーズが多様化し、類似製品で溢れかえっている現在の市場では、どの売り手も生き残りを図るために、顧客満足度を高めるマーケティング努力を重ねています。

そして、顧客満足を重視する企業では、長期的なビジネス継続のために、満足している顧客の割合だけでなく顧客の離反率にも注目しています。

ただし、売り手の悩みは、離反していく顧客の多くがその原因となっている不満や苦情について直接語ってくれることが少ない点です。

満足度の低い顧客からすれば、今後はそのような売り手と関わりたくないというのが自然な感情だからです。

そのため、よほどクレームを訴えたい場合以外は、満足度の低い顧客は静かに去っていくものだと売り手側は心得ておくべきです。

 

3.顧客の離反を防止するための対策とは?

それでは、売り手側としては手をこまねいて、満足度の低い顧客が去っていくのを見ているしかないのでしょうか?

何も対応策を取らないために顧客がどんどん失われていって、長期的な発展を見込めなくなるのは、座して死を待つようなものです。

そこで、売り手側の対応策としては、顧客が不安や不満、苦情などを売り手に気軽に伝えられるような仕組み作りをしていくことです。

具体例としては、スーパーなどでよく設置されているアンケート用紙があります。

顧客にアンケート用紙に自由に書き込んで投函してもらい、それに対するお礼と売り手側の対応を書いたものを掲示板に貼り出すといった仕組みがとられています。

ホテルなどの宿泊施設やその他の接客業でも、アンケートの仕組み作りを行っています。

また、情報通信技術の発達により、専用の無料電話を設けて顧客の声を聞いたり、ホームページの口コミ欄やお問い合わせ欄を充実させたりする取り組みも普通になってきました。

多くの売り手が顧客の声を聞く仕組み作りに努力しています。

そして、顧客から寄せられた不満や苦情の声は、現在展開しているマーケティング・ミックス4Pを見直すための絶好の材料ですから、改善・改良に努めて次に活かすようにしています。

したがって、リーダーやマーケターの方は、顧客の離反を防止するために、マーケティング活動の重要な一部として、顧客から不満や苦情を気軽に伝えてもらえるような仕組み作りに取り組みましょう

 

4.顧客離反防止のためにリーダーが持つべき視点とは?

売り手が自分のビジネスを継続して発展させていくためには、顧客との長期的な信頼関係を作ることが欠かせません。

顧客との長期的な信頼関係があってこそ、売上げと利益の確保ができ、社員を養い、社会や国に貢献できるからです。

前述したように、穴が開いたバケツには水がたまらないのと同様に、獲得した顧客を次々に失っていては、顧客との長期的な信頼関係作りなど夢のまた夢になってしまいます。

しかも、新規顧客を獲得するためには、莫大な広告宣伝費や販売促進費、営業活動費などが必要になります。

新規顧客獲得のためのコストは、既存顧客を維持するためのコストに比べて5倍は必要になると言われています。

したがって、顧客との長期的な信頼関係作りをするためにリーダーが持つべき視点としては、新規顧客獲得ばかりに注意を奪われず、顧客の離反率を軽視しないことです

成長市場において売上げを重視する売り手は、マーケット・リーダーの地位を狙って新規顧客の獲得を優先させても良いでしょう。

ただし、一発屋で終わらせないために、市場の成長が止まった時に備えて、既存顧客へのアフターフォローの仕組みも少しずつ充実させていきましょう。

他方、成熟市場になりますと、類似製品が市場に溢れて競争が厳しくなるため、新規顧客獲得が難しくなります。

いわば、生き残るためには、それぞれの売り手はお互いの顧客を奪い合わなければならない状況といえます。

したがって、成熟市場において利益の確保を重視する売り手は、アフターフォローの仕組みをより一層充実させて既存顧客の維持を優先させるべきです。

このように、リーダーやマーケターは、市場の成長段階に応じて、既存顧客を確保し維持するための仕組みを整備していくようにしましょう

 

最後までお読み頂きまして誠にありがとうございました。

次回の記事では、「リーダー初心者のためのマーケティング戦略入門(第17回)」をお届け致します。

リーダー初心者で日々のリーダーシップにお悩みの方は、ぜひ楽しみにしていて下さい。

 

<主な参考文献>

この「マーケティング戦略入門」講義ブログを書くにあたって、参考にさせて頂いたり、引用させて頂いた主な参考文献を以下の通りご紹介致します。

①から⑫へ進むほど、少しずつ説明のレベルや知識の網羅性が上がっていきます。

もっとも、①~⑧までは、どの書籍も入門レベルのものですので、あまりご心配には及びません。

実際に手に取ってみて、ご自身に合うものから読み進められると良いと思います。

ご興味をお持ちになられた方はぜひお近くの書店でお買い求めください。
(個人的にリアル書店の皆様を応援しております。)

 

①佐藤義典『新人OL、つぶれかけの会社をまかされる』(青春出版社、2010年)

②佐藤義典『新人OL、社長になって会社を立て直す』(青春出版社、2011年)

③中野明『14歳からのマーケティング』(SOGOHOREI、2017年)

④市川晃久『マーケティングで面白いほど売り上げが伸びる本』(あさ出版、2016年)

⑤青井倫一監修・グローバルタスクフォース㈱編著『新版 通勤大学MBA2 マーケティング』(SOGOHOREI、2013年)

⑥平野敦士カール監修『大学4年間のマーケティング見るだけノート』(宝島社、2018年)

⑦弘兼憲史・前田信弘『知識ゼロからのマーケティング入門』(幻冬舎、2009年)

⑧恩蔵直人『日経文庫 マーケティング<第2版>』(日経文庫、2019年)

⑨沼上幹『有斐閣アルマ わかりやすいマーケティング戦略〔新版〕』(有斐閣、2008年)

⑩和田充夫・恩蔵直人・三浦俊彦『有斐閣アルママーケティング戦略〔第5版〕』

(有斐閣、2016年)

⑪河野安彦『内閣府認定マーケティング検定2級試験公式問題集&解説 上巻2020年度版』(公益社団法人日本マーケティング協会、2020年)

⑫河野安彦『内閣府認定マーケティング検定2級試験公式問題集&解説 下巻2020年度版』(公益社団法人日本マーケティング協会、2020年)

 

マーケティングを全く学んだことがない方は、①・ ②と③から読み始めると良いと思います。

手っ取り早く学びたい方は、① ・②と⑥を読めばマーケティングの全体像をつかめます。

これからマーケティングを本格的に学んでいきたい方は、①・ ②と⑥を読んだ後、⑧と⑨を読んで基礎固めを行い、その後に⑩~⑫へと読み進んでいかれると良いでしょう。

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